トランスのモテについて

 モテない話を書きましたが、モテに関しては考えるところが大きいです。

 まず前提として、最近このブログにやって来られた方のためにお断りしておきますと、わたしは戸籍上は男性です。現在は修行の結果、社会的にはほぼ女性で生きています。喉から血が出そうな勢いの訓練(マジ)で声もようやく実用レベルに達しましたが、キレた時にM声になるので結構見破られます。最近のテーマは「女々しいミドルキックの蹴り方」です。
 「そんなに人間が変われるものか」と思う人もいるかもしれませんが(わたしの古いお友達も含めて)、変われます。やる気一つで半年あれば別人です。顔出ししないだけで、達成している人は掃いて捨てるほどいます。テレビに出ている変な自称GIDを基準に考えない方が身の為です。こうやって顔出ししまくっているわたしは似た部類かもしれませんが。
 前置きが長くなりましたが、この立場、なかなか恋愛が面倒です。
 とりあえずゲイの人は恋愛対象になりません。「同性愛者」のつもりはないし、わたしに男を求められても困ります。
 ではヘテロならどうか、といっても、わたしの場合身体は中途ですからなかなか自由にはなりません。
 非常に自惚れた物言いをすれば、「トランス」(大雑把に「性別を移行する者」の意)という狭い枠組みで言うなら、わたしはそこそこ評価される方でしょう。「トランス好き」というものすごい濃い趣味の方限定で言えば、それなりのモテが獲得できるのではないかと思います。
 このサイトをご覧頂いている方の中には、ソレ系から辿ってきた結果、わたしのことをヒーロー並みに勘違いしてくれている人もいるかもしれません。というか、わたし自身が「完成度の高い人」を激しい羨望の目で見ていて、「女として生きられるなら他のすべてを捨ててもいい」くらいに思っていた時期がありましたから(実際かなり捨てました)、評価する気持ちというのは人一倍あるのです。
 ですが、単に「女」という基準で考えると、途端に逆転します。「女」としては欠陥だらけです。性器も戸籍も不完全だし、できないことが多すぎます。おまけに、当事者ならば誰でも知っていますが、「自分の希望の性別で生きる」という普通の人なら意識すらしない瑣末事に、異様なエネルギーを注ぎ込んでしまっています。性格の一つや二つ歪むというものです。歪んでいるからこういう生き方をしている、という解釈もありますが。
 同じ現象なのに、見方次第で武器にもなればハンデにもなり、しかも「希望の状態」に近付けば近付く程、ハンデとしての意味が大きくなってしまう、なかなかに厄介な問題です。そういう意味では、あまり「希望の状態」にこだわらないことを、当事者の方には強く警告しておきたいです。自己評価が果てしなく低下していく危険があるからです。人生には他にも大切なことが沢山あります。どのみち、ネイティヴ(非トランス)とイコールになんて一生なれないのです。勘違いしない方が賢明です。
 話がズレましたが、「トランス」という基準で言えばお山の大将くらいにはなれるかもしれませんが、一歩外に出たら激しくモテない、ということです。日常生活では、カムしていない人には一定以上近付けないし、カムしていれば気楽な関係ですがやっぱり恋愛は難しいです(原則カムしたい派です)。あんまりモテないので出会い系などに参加しようにも、微妙にウソをついている感じが心苦しいです。思いあまって「ソレ系」の出会いサイトなどを覗くと、末期的にエログロでとても付き合いきれません。ものすごい行き詰まり感です。
 一つ懺悔すれば、一回ナンパされてホテルにまでついていってしまったことがあります。結局謝り倒して逃げてきましたが、申し訳ないやら情けないやらで、本当に惨めな思いをしました。
 というわけで、一通り吐き倒してみましたが、これといって解決策はありません。「それはそれでいいんじゃない?」という心の広い方とでも出会えればよいのでしょうが、さすがのわたしもセクシュアリティ関係だけでラヴ対象を選択してしまうわけではありません。ブッ飛びすぎてて男女の区別がつかないような悟空か解脱おじいちゃんみたいな人だと理想的ですが、社会生活が心配です。最終的には性別なんてどうでもいいのでしょうし、わたしの側としても戸籍上の性別自体で選り好みしようなどとは思わないのですが、その「最終的」に行くのが大変なのです。
 まぁ、恋人がいなくても死ぬわけじゃないですから、性的問題だけクリアした恋人なんかより、話の合う友達の方がずっと大切なんですけどね。
 ……あ、「ミドルキック」とか書いてるからモテないのかっ!
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