戸籍の性別変更

 退院後2日で帰国、11日後にメンタルクリニック受診してSRSの結果報告。指定された病院で「女性器に似た」形が形成されていることを示す診断書を書いてもらい、退院後5週間目に再度メンタルクリニック受診。戸籍変更のための診断書は一つの書類に二名連名で著名してもらうので、書類を抱えてハシゴ、そのまま霞ヶ関へ。それから20日後に家裁から呼び出しがありました。
 普通は診断書が出るのにかなり時間がかかるようですが、わたしの場合かなり辛抱強くメンクリ通いをしていた上、埼玉一年待ちでしかも直前に川越クリニックに振り替えで予約取り直し、という惨憺たる経過を辿っていただけに、SRS後二回目の受診で診断書が出ました。ガイドラインに乗ってこなかった方はもうちょっと手間がかかると思いますが、今は全体にスムーズになっているのでしょうね。実に遠回りしました。ちなみにこの診断書は3万以上して、ちょっとショックでした・・。
 審問自体は実に簡単で、3分もかかりませんでした。裁判官の台詞は「引き返せない道だけど、気持ちに間違いはない?」「子供は本当にいない? 認知していない隠し子がいるとか?」の二つだけ。子無し要件のためとはわかりますが、まさか「隠し子」と来るとは想像もしていなかったので、一瞬何の話だかわからなくなりました。どちらかというと「産むのは無理なんですけれど」が先に来て、一瞬後に了解した感じです(笑)。
 「三週間以内に結論を出します」ということだったのですが、三週間経過しても音沙汰がなく、問い合わせたところ遅れているとの返事。結局丁度一ヵ月後に審判が下りました。
 普通は配達証明か何かで書類が郵送されてきて、その受け取り確認をもって裁判所の方で本籍地の市役所に連絡が行き、戸籍が変更されるらしいのですが、ちょっと急がなければならない事情があった上、平日は郵送されても時間的に受け取れないので、こちらから家裁に出向いて受領してきました。本籍地の市役所に問い合わせたところ、変更の反映までに一週間かかるとのお返事。ちなみにわたしの本籍地では、予めお願いしておいたら変更完了次第戸籍謄本を郵送してもらえるとのことでした。お役所にも関わらず、メールでの問い合わせにすぐレスがあり、とても親切な対応でした。
 退院から三ヶ月ちょっとで手続き完了できたことになります。
 お世話になった先生方、友人の皆様、本当にありがとうございました。
 感無量と言えば感無量ですが、フクザツな想いもあり、一言では言えません。
 思えば二三年前まで「戸籍を変えるつもりはない」と公言していたのですが、結局徐々に気持ちが傾いて変更することになりました。正直、最大の理由は社会生活上の不都合です。普通の女として暮らすなら戸籍が整っていないことによる不利益には厳しいものがありますし、そもそももう「トランスであること」に振り回せれるのに心底うんざりしてきた、というのもあります。
 とはいえ、この問題についての試行錯誤がこれで「完了」になったわけもなく、本質的には一生引きずることになるのでしょう。
 そもそもわたしにとって、このサイトなどで公開しているような議論は、必ずしも「トランスセクシュアル当事者として」のものではありません。その多くが「トランスセクシュアルならでは」の思い付きから始まっているのは間違いありませんが、トップページにも書いている通り、トランスセクシュアリティ、さらにGIDなる現象自体についてはそれほど興味がありません。いや、まるで関心がないということはもちろんないのですが、論としての広がりが余りに乏しいと思っています。トランスセクシュアリティプロパーということであれば、「ホルモン剤の適量」でも語っている方がまだ「実用的」で、そんなことは当事者以外の誰も興味がありません(こういう情報が当事者にとっては重要なのは当然ですが、他にたくさん実践されている方がいるので積極的には扱いません)。
 一方、「性転換」という素材は、見た目にわかりやすく、かつそれなりに歴史的積み上げのある題材です。性=生について実のあることを考えようとすると、どうしても現代思想くさい抽象度の高い議論になってしまいますから、そのトリガーとして使っていくのが最も有用で思考の射程を延長する使用法なのではないかと思っています。
 ですから、今後も変わらず下らない議論をぐちゃぐちゃとこねくり返すかもしれませんが、少しそれにも飽きてきたところがあるので、この機会にサッパリwebから姿を消す可能性もあります(当然ですが、筆名で使っている名前は本名ではありません)。とりあえず現時点でいくつかメモしておきたいことがあるので、これについては近日中にアップすると思います。
 関係ないですが、裁判所と言えば以前名前を変更したとき、家庭裁判所と間違って地方裁判所に入ってしまったことがあります。
 東京地方裁判所と言えば「巨悪を裁く!」といった威風堂々たる構えで、日によっては門前でマスコミが控えていたりするような場所です。とても「GIDなので名前変えてください」とかアホなことを言い出せる空気ではありません。ドキドキしながら受付の方に尋ねたら、隣の家庭裁判所を教えてくれました。とんだ大恥かいてきました・・。
 家庭裁判所は打って変わって庶民的です。庶民的というか、精神病院やハローワークにちょっと似ています。「困っている人」や「困った人」がグダグダ長時間待たされている、という意味です。ブツブツ独り言を吐いている人の率も多いです。
 家庭裁判所・精神病院・ハローワーク、どれをとってもあまりお世話になりたい場所ではないですが、すごくリアルではあります。どれもマージナルな空間だからでしょう。真理は常に周縁に宿るものです。
(このエントリはSRSについてのものではありませんが、当サイトに少ない「実用的」内容のため、カテゴリは「SRS記録」としておきます)

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