ワークショップの時に櫻庭先生が推奨されていたので、『セクシュアリティの心理学』(小倉千加子 有斐閣)を読んでみました。
非常に簡潔で適切な入門書です。
ジェンダー/セクシュアリティ関係に興味があるけれど右も左もわからない方、またトランスジェンダー/トランスセクシュアル、性同一性障害の問題から入ったために、この領野の全体像や歴史、その中でのトランスの位置づけのわからない方に、強くお勧めしたいです。大変わかりやすく、論調も平易でサクッと読めます。
これに岩波の思考のフロンティアシリーズ『フェミニズム』(竹村和子 岩波書店)、『クィア・スタディーズ』(河口和也 岩波書店)などをあわせると、バランスの良い導入になるかと思います。性同一性障害関係の概括として一冊だけ選ぶなら、何度か取り上げている『性同一性障害』(吉永みち子 集英社新書)が適当でしょう。
これらはいずれも入門書ですから、まずは状況をざっと把握のに使い、その上で各論や具体的事例にあたっていくことが必要です。以上のような書籍を眺めてから、もう少しホットな話題を知りたければ、『”ポスト”フェミニズム』(竹村和子編 作品社)が大変面白く読めます。
ちなみに思考のフロンティアシリーズには『ジェンダー/セクシュアリティ』(田崎英明 岩波書店)という名著があります。これはジェンダー/セクシュアリティの入門書としてはまったく不適なのですが、真の良書ですので、基本を押させえたら是非手に取ってみて下さい。ちなみに応用編というか飛び道具としては『押井守』(文藝別冊 河出書房新社)収録のわたしの試論もあげておきます(笑)。
基本文献ということでどこでも取り上げられるのが『現代思想』1997/05増刊 総特集「レズビアン/ゲイ・スタディーズ」なのですが、これは絶版の上古書店などでもなかなか手に入りません。非常に重要な論文の翻訳が目白押しで、特にゲイル・ルービンのものは必読ですから、図書館で探してみて下さい。わたしは広尾の都立図書館で複写しました。