かなり関係の悪化していた実家を、日帰りで訪れた。
はじめは当たり障りのない話題で、悪くない雰囲気に思えた。
だが父の言葉から口論に。結局、家を飛び出す。
父は存在感がない場の読めない人で、子供の頃の記憶にあまり登場しない。
母は知性を持て余しているようで、寂しげで、美しく、でも恐ろしかった。
そんな母が、わたしを追って来てくれた。
自分の子供っぽさを恥じた。
車の中で堰を切ったように話し、最後は抱き合った。
「女の子が欲しいとずっと思っていたからね。二人いたと思えばいいね。でも、どうして初めから女の子じゃなかったんだろうね」
ごめんね。ごめんね。
「子供の頃から『女の子みたい』って言われてたからねぇ。ちょっと奇麗に産みすぎちゃったね」
一人じゃない。あたしは一人じゃない。
切れてないし、つながっていた。
今までいっぱい心配かけてごめんなさい。
ありがとう。勇気を出して手紙を書いて、そして会ってよかった。
ちくしょう、あたしは大バカものだ。
いつも気づくのが遅すぎる。
でもまだまだ、タップしてたまるか。
絶対絶対、甲斐性のある女になって、おいしいものをいっぱい食べさせてあげるからね。
あたしは絶対負けないんだ。お母さんの子供なんだ。