毎日新聞より。
世界的薬害を起こした鎮静・催眠剤「サリドマイド」の被害者らで作る財団法人「いしずえ」が10日、東京都内で設立30周年記念講演会を開いた。約300人の参加者からは、がんなどの治療目的でサリドマイドの個人輸入が増加している現状を心配し、国に法規制を求める声が相次いだ。 「サリドマイド事件」を御存知ない方はいないと思うのですが、催眠薬のサリドマイドはその催奇性から販売中止になっています。しかし最近、炎症やがんに伴って起こる血管新生をブロックするという「血管新生阻害作用」が注目され、がんやエイズ等の炎症性疾患、多発性骨髄腫の治療薬として注目を集めています。個人輸入を代行しているサイトもあります。
半ば無規制の現状には問題もあるでしょうが、まさか催眠剤として今サリドマイドを使おうという人はいないでしょう。そしてがんの治療薬等としての望みをかけて個人輸入する方なら、サリドマイドの副作用について承知していないことはないはずです。どんな薬にも副作用はありますから、結局はメリットとデメリットを秤にかけるしかありません。啓蒙活動は当然必要ですが、徒らに規制を強めることになってしまわないか心配です。少なくとも、遅すぎる治験のペースアップと平行すべだと思います。
念のためですが、催眠剤としてサリドマイドを使おうなどという方がいらっしゃったら、絶対にやめて下さい。必要な場合には、自己責任で作用副作用をよく勉強して下さい。
『神と悪魔の薬サリドマイド』 日経BP社 1,890円