Warning: Creating default object from empty value in /home/ssm/www/eternal/wp-content/plugins/accelerated-mobile-pages/includes/options/redux-core/inc/class.redux_filesystem.php on line 29
玄米の栄養メモ ギャバで精神は安定するか

玄米の栄養メモ ギャバで精神は安定するか

 世間では発芽玄米が人気です。確かに食べやすいですが、ちょっとお高いです。貧乏人は普通の玄米で十分です。

genmai.jpg14年産岩手県南ひとめぼれ玄米10kg4410円


 わたしは米は玄米しか食べません。「発芽玄米は普通の炊飯器でも炊ける」という宣伝をよく見かけますが、玄米も大丈夫です。固いのが苦手な人は、ちょっと水を多めにして、炊く前に十分ひたしておいた方が良いでしょう(ちなみに、おかゆぎみにした方が実質GI値も低くなります)。わたしは冷えてモチモチした固い玄米フリークなので、どんな状況でもオッケーです。
 さて、発芽玄米では諸々の栄養と共にギャバが話題になっています。
 ギャバは正式名称γ-アミノ洛酸(Gamma-Amino Butyric Acid)、アミノ酸の一種です。 人間の脳内に微量に存在する抑制性の神経伝達物質です。
 ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどは、それぞれの持つ役割を神経細胞の興奮を高める事で伝える、興奮性の神経物質ですが、ギャバはその刺激が伝わらないように神経細胞の興奮を抑える、抑制性の神経伝達物質です。要するにダウナーってヤツです。
 薬でギャバを増やす働きがあるのが、マイナートランキライザー(抗不安剤)です。ちなみに、メジャートランキライザー(抗精神病薬)は、ドーパミンを直接抑制し、統合失調症の患者さんなどに処方されるものですが、抗不安剤は遥かにソフトに効き、パニック障害や軽い神経症の場合に出されます。手術前の不安抑制でも使います。精神科では一番気楽に処方されているもので、要するにそれだけ安全ということです。少なくともお酒よりは危険が少ないです。
 玄米や発芽玄米には、このギャバが多く含まれています。100gあたりの含有量は、
白米1mg
胚芽米2.5mg
玄米3mg
発芽玄米10mg
 なので、確かに発芽玄米が圧倒的です。
 ですが、人間には脳血液関門というのがあって、摂取した物質が簡単に脳に届くことはありません。経口摂取したギャバもこのバリアを越えることはできません。神経に直接作用する脳内物質が、食事で激しく増減しては困るでしょう。ギャバを食べたからといってそれが直接脳に届くことはないのです。
 代表的な神経伝達物質ドーパミンを増やすL-ドーパなどのパーキンソン病の薬でも、ドーパミンそのものを摂取するのではなく、ドーパミン誘導体と言って、脳内でドーパミンの原料となる物質を使っています。またSSRIという抗鬱剤はセロトニンに働きかけますが、これもセロトニンの再吸収を阻害することで実質的な流通量を上げているだけです。
 「ギャバを多く含むお茶」のコピーに「脳血液関門があるから摂り過ぎも安心」などとあるのを見つけましたが、「それじゃあ摂取しても意味ないんぢゃん」とツッコみたくなります。
 そもそもギャバはアミノ酸の一つグルタミン酸から作られるのですが、これは体内で生産できるもので、話題の必須アミノ酸ではありません。食事で摂らないと決定的に不足してしまう性質のものではないのです。「ギャバ不足を発芽玄米で補う」などというコピーは、よくよく考えるとあまり意味がないのです。
 脳に作用する為には、神経伝達物質の前駆体となるいくつかのアミノ酸と、これを脳に運ぶための中性アミノ酸が要ります。また、脳が正常に働くための糖分と、これまた輸送担体が必要です。それならもろもろのアミノ酸を含んだタンパク質を沢山摂れば良いかというと、脳血液関門の輸送担体は一種類しかないため食べ過ぎると競合が発生、かえって肝心なものが届かない、という現象も起こります(交通渋滞で救急車が通れないようなもの)。要するに「精神状態を良くするならバランスよく食べろ」という当たり前の結論になってしまうのです。
 ただ、糖尿病を患ってから玄米食にされた知人殿は「確かに心が落ち着く」と言っています。実はわたしもそう感じます。二人ともケミカルから何から色々試している強者ですから、証言としてはそこそこ有力です。ラットを使った実験でも、ある程度検証されているようです。
 おそらく玄米や発芽玄米のギャバが直接働くのではなく、玄米の栄養バランスが「イイ感じ」なのでしょう。
 また、玄米は精白米に比べて、食べた後の血糖値の上昇が緩やかであることが知られています。「GI値が低い」というヤツです。血糖値の急上昇はインシュリンの大量分泌につながり、これが「攻撃ホルモン」アドレナリンを分泌させます。つまりイライラしたり多動になったり、情緒が不安定になるのです。さらにインシュリンの大量分泌は血糖値を急低下させますから、今度は低血糖でイライラします。ジェットコースターのようになってしまうのです。
 逆に言えば、玄米食は「血糖値の変化を緩やかにする」という点だけでも精神安定効果があると言えます。「ギャバが効く」という暗示も勘定に入れるなら、信じておいた方がもちろん精神衛生上良いでしょうが。
 仮にギャバが脳に届かないにせよ、玄米には色々良いところがあります。腎臓に作用して血圧を下げる効果もあります。
 栄養成分を炊いたご飯100gで比較してみましょう。
食品名重量(g)エネルギー(kcal)たんぱく質(g)脂質(g)炭水化物(g)ナトリウム(mg)カリウム(mg)カルシウム(mg)マグネシウム(mg)リン(mg)鉄(mg)玄米100.0165.002.801.0035.601.0095.007.0049.00130.000.60精白米100.0168.002.500.3037.101.0029.003.007.0034.000.10食品名亜鉛(mg)銅(mg)マンガン(mg)レチノール当量(μg)ビタミンD(μg)ビタミンE(mg)ビタミンK(μg)ビタミンB1(mg)ビタミンB2(mg)ナイアシン(mg)ビタミンB6(mg)玄米0.800.121.040.000.000.500.000.160.022.900.21精白米0.600.100.350.000.000.000.000.020.010.200.02食品名ビタミンB12(μg)葉酸(μg)パントテン酸(mg)ビタミンC(mg)飽和脂肪酸(g)1価不飽和(g)多価不飽和(g)コレステロール(mg)食物繊維(g)食塩(g)玄米0.0010.000.650.000.230.300.300.001.400.00精白米0.003.000.250.000.100.070.100.000.300.00
 説明するのがバカバカしいほど、あらゆる微量栄養素で玄米が勝っています。
 GI値も精白米88に対して玄米は55。低いGI値は、前述の通り精神的に良いばかりでなく、ダイエットにも有効です。インシュリンが分泌されると、血中の糖が肝臓や筋肉に送り込まれるのですが、ここでの消費量には限界があるため、残った分は脂肪として貯えられてしまうのです。
 血圧も血糖値も上昇をおさえてくれて、太りにくく、ビタミン・ミネラルも豊富。白米を食べるのなんてアホらしくなります。
 最初は抵抗があるかもしれませんが、慣れると噛みごたえがあって実においしいです。たまに白米を食べると、血糖が急上昇する感じで頭がクラクラきます。特にわたしのような超情緒不安定人間は、すぐにイライラしたりパニクったりするので危険なのです。
 素朴に考えれば手間がかかっていない分安くて良いハズの玄米が、資本主義のお陰で白米より高く売られています。精米業者の生活よりわたしの健康ですから、皆さん玄米の消費量を増やして価格を逆転させて下さい。
 ちなみに、上でリンクした米屋ふくちさんですが、品ぞろえの悪いスーパーにポツンと置いてある玄米に比べて断然お安いです。10kgで送料950円を勘定に入れても高くないですし、届けてもらえるのは有り難いです。今回の記事で使うために見つけたのですが、本気で次はここで買おうと思っています。
 まとめ買いされるなら万糧米穀さん15年産南アルプス北麗米こいごころ玄米が348円/1kgと激安なのですが、30kg単位というのは独り暮らしには厳しすぎます。
 オーガニックサイバーストアさんには無農薬無化学肥料栽培ササニシキ玄米10kg6584円というのもありました。無農薬無化学肥料というのはちょっと惹かれます。
 きらら397ファンとしてはセルート米米倶楽部さんきらら397玄米バリューパック 5kg1830円が是非欲しかったのですが、在庫切れのようです。きららは低温に強い品種で、害虫の少ない北海道で作られるため、普通に育てても低農薬なのです。しかも安いです。
 どうでもいいですが、米屋ふくちさん、せっかくリンク貼ろうとしているのに、デフォルトの画像がコレですよ。
14年産岩手県南ひとめぼれ 玄米10kg
 何だかわかんないですよ!
 どうやら店長さんらしいですが、お米売るのに自分がジュ−ス飲んでくつろいでる写真でどうするんですか。
 ちなみにこの人です。
fukuchi.jpg
 福地至さん。「自家田を持ち、実際にお米を栽培しながら地元農家の皆さんと美味しいお米作りを研究している『一番現場に近い米屋』」とのことです。

nonai_fuan.jpg『脳内不安物質―不安・恐怖症を起こす脳内物質をさぐる』

ギャバを始め、脳内物質の働きがわかりやすい解説されています。お勧めです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする