ハイ、これです。はっきり言って、最初からこの話題以外考えていません。それ以外については、「医療レーザー以外の脱毛法」を御参照ください。
薄い場合は対処療法で良いと思いますが、永久脱毛を考えるなら針脱毛かコレかしかありません。
エステで行われている針脱毛(電気脱毛)も、永久的効果があるようです。受けたことがないので正確ではありませんが、産毛のようになったものを徹底して脱毛するには、レーザーより優秀らしいです(レーザーは細い毛や色素の薄い毛には不適)。
ただ、痛みや肌トラブルなどの話題耳にしますし、本当に究めようというのではない限り、レーザーで十分だと思われます。
というわけで、医療レーザーに絞って話を進めます。
そもそも、なぜ医療レーザーで永久脱毛が可能なのでしょう。JPSグループ高橋院長による「レーザー脱毛の原理」という素晴らしいページがあります。やや情報は古いですが、原理が明解に説明されています。
かいつまんで言うと、レーザー脱毛とはレーザーのエネルギーを毛根のメラニン色素に爆発的に反応させ、再生不可能なまでに燃やし尽くしてしまうことです。メラニンに反応させるには波長が重要ですが、反応させ燃やすには一定以上のエネルギーが必要です。ただしじんわりと与えていたのでは周囲の皮膚にも熱が伝わりヤケドが起きてしまいますので、短い時間でパルス状に発射することが必要です。具体的条件としては「波長は700nm〜1000nm、照射時間(パルス幅)は1000分の10秒以上、出力は14J/cm2以上」となり、家庭用レーザーは全くこれを満たしていません。
一方で、IPLというエステで使われている「光脱毛」というものがあります。レーザーではなく通常の光線を用いたものです。なぜエステでIPLが使われるかというと、医療用レーザーは法的に医師の管理下でないと使えないからです。これにも除毛効果はあるようですが、永久的に毛根を破壊するにはパワーが低すぎます。
よって、結論としては医療レーザーということになるのですが、この医療レーザーにもいくつかの種類があります。今ではすっかり落ち着いてしまいましたが、一時期「アレキサンドライトかダイオードか?」というのが脱毛業界の焦点になっていたことがあります。
上記の条件を満たす波長のレーザーには、「歯科レーザー治療」の時に触れたNd-YAG、ルビー、アレキサンドライト、ダイオードがあるのですが、ルビーはメラニン感受性が強すぎ、Nd-YAGは弱すぎて早期に淘汰されました。主流になったのがアレキサンドライトだったのですが、その後現れたダイオードとどちらが優れているのかで論争になったのです。
「Aikoの最新脱毛情報」さんには、その時代の熱い息吹が詰まっています。情報は「最新」ではないのですが、原理的には今でも参照できるところが沢山まとめられています。
結論から言えば、FDA(米国食品医薬品局)による認可(正確にはPermanent Hair Reductionをうたうことができる)として、ダイオードレーザーにほぼ軍配が上がった形ですが、アレキサンドライトが全く無効なわけではありません。アレキサンドライトレーザーからスタートして、毛が次第に細くなり、本数も減ってきたらダイオードを使う、という使い分けるをしているところあります。また「アレキサンドライトの方が有効」という説も存在しますが、これはハンドピースの形状の問題であり、しかもダイオードのものの形の方が効率的という記述もあります。
結局はレーザーソースそのものというより、「ダイオード:接触、水冷/アレキサンドライト:非接触、空冷」という違いが大きいようで、全体としてはダイオード支持派が多数になっています。さらに「コヒレントLightSheer-XC VS パロマーSLP1000」というダイオード同士の機種対決もありますが、シェアとしてはLightSheerが一番です。
そして業界でいち早くダイオードを導入し、先程から引用しまくっている理論的検証で脱毛フリークを唸らせてきたのがJPSグループ渋谷高橋医院の高橋院長なのです。わたしが脱毛を受けたのも系列の大阪青木医院でした。
自分で言うのも何ですが、わたしは結構リサーチマニアです。衝動買いもしますが、基本的には買う前はさんざん調べて、その調査自体を楽しむタイプです。ですから、JPSグループの推賞にはかなり自信を持っています。「トランス理系説」なる俗説があるほど理屈っぽいヒトの多いMtF業界で、圧倒的に支持されているのもJPSです(ちなみにわたしはバリ文系ですが)。
とにかく、自分の身体で試したものをサイトで動画まで混ぜて報告する高橋院長の情報公開姿勢に感銘を受けました。ほとんどの読者には理解できないであろう理論的側面までしつこく解説している態度にも、とても共鳴できます。「いっそその記述が全部ウソだとしても、この医院にかけてみよう」と思わせるものがありました。「『永久脱毛』という言い方はおかしい、脱毛しなくなるのだから『永久無毛』と言うべきだ」「まだ開発されて間もないレーザーだから、本当に『永久』かはわからない」といった屁理屈な物言いにもホレました。
ただし、高橋院長自身が述べている通り、医療レーザー脱毛で重要なのは機械です。逆に言えば、機種とその使い方さえ正しければ、お近くの医院でも良いことになります。こちらに医院ごとの使用機種・価格リストがありますので、参考にしてみて下さい。菅谷クリニックなどはダイオードレーザー両脇1年間フリーパス45,000ですから、かなりリーズナブルです。
ちなみに、わたしは顔11回、両脚5回、脇6回の脱毛を受け、満足のいく結果を得ています。脚はネイティヴ程度の細い毛は生えることがあり、顔も時々カイワレ大根のようなヤツがひょろっと出てきますが、不満・不都合はありません(レーザーはメラニンに反応するため、産毛は脱毛できません)。
毛の太さや体質にもよりますが、部位に関わらず、最初の1、2回は劇的な変化がなかったりして少し心配になるものです。段階的にパワーを上げていくのですが、ブレイクスルーのような回があって、リニアに減少していくものではありません。3回くらいはとりあえず様子をみるべきですし、気にされている方なら永久保障コースを選んだ方が賢明でしょう。両脚40万はなかなか痛かったですが、MtF業界では100万200万もザラですから、安いものです。5、6回もやれば大体満足いきます。というか、後述する痛みの問題もあって、普通の人はそれくらいで手を打つのではないかと思います。あまりこだわりすぎるとかえって色素沈着の原因を作ってしまいかねません。一定のレベルに達したら、スローグローやキープイットベアなどの発毛抑制剤でメンテナンスしながら時々剃るので十分だと思います。
他にもJPSで脱毛された方に何人か御会いしましたが、皆さん満足されているようです。料金もかなり安めです。ただしドタキャンや遅刻にはペナルティがつくので、くれぐれも時間は厳守して下さい(知人で一人罰金を取られた人がいます)。
最後に、医療レーザー脱毛を受ける上での注意点をいくつか挙げておきます。
まず、毛を抜いてはいけません。レーザーは剃った状態で受けるのですが、これは表面に出ていない毛根にエネルギーを集中させるためです(添っていないとヤケドするか熱が拡散して効果が得られません)。逆に言うと、一時的に毛根のない状態になっていては、脱毛はできないのです。脱毛期間中は毛を絶対に抜かず、一定周期で繰り返すことになります。
最初は弱いパワーから始め、太い毛から始末していきます。そうしないと、皮膚の受けるダメージが大きすぎるからです。太い毛がなくなっても、細い毛はちゃんと生えてきます。
毛が復活するまで次は受けられません。顔の毛は最初だけ1ケ月周期くらいになりますが、他は大体2、3ケ月毎になります。時間がかかるのは覚悟して下さい。美は一日してならず、です。「夏が来る前に脱毛」などと今頃言っているのでは遅すぎます。脱毛は秋から勝負です。
これにはもう一つ理由があって、レーザー照射後は色素沈着を防ぐために極力紫外線を避けなければならないのです。日焼けは厳禁です。そもそも、メラニンに反応するレーザーですから、皮膚が黒い状態では有効に脱毛できません(はっきり言って、地黒のヒトは不利です)。脚や脇なら問題ありませんが、腕の場合などは皮膚を露出しない季節に済ませるべきです。
さらにMtF独自の大問題として、顔の脱毛があります。目出し帽で歩くわけにはいきませんから、紫外線対策には相当気を使う必要があります。照射直後は強い日焼け止めもよくありません(それでも使わざるを得ませんが)。わたしは時間帯も夕方にし、マスク持参で受けに行っていました。
それから、気になる痛みです。
「レーザーは痛くない」などという宣伝文句がありますし、確かにニードルに比べればなんでもないでしょう。ですが、実際にはそこそこ痛いです。
脇は大したことはないのですが、脚もパワーを上げるとなかなかキツいものがあります。そして最悪なのが顔です。ネイティヴには関係ないことでしょうが、あの痛みは半端ではありません。特に鼻の下に照射される時は、歯を食いしばって耐える覚悟が要ります。施術してくれている看護士さんも申し訳なさそうな顔をしてしまう程です。
でもやるしかありません。いくらなんでもヒゲのあるオンナじゃ生きていけませんから、気合いです。去勢や豊胸に比べれば大したものではありません。たぶん。
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おまけ愚痴:
美容の話題というのは時に楽しいものではあるのですが、ネイティヴからの誤解には時々辟易しています。「綺麗になりたい」とはもちろん思いますが、普通に社会生活を送る上では「綺麗」より「女に見える」ことの方が遥かに重要であり、また「綺麗」すらもトランスにとってはサバイバルの一手段の場合があります(これは一部のネイティヴ女性にも言えることです)。
パスに拘泥しすぎるのは滑稽だとは思いますが、ノンパスでは話になりません。海外ではトランスを対象にしたヘイトクライムすら現実化しています。前に取り上げた『性転換』でも触れられていましたが、わたしたちにとってはコスメもファッションも「身を守る手段」なのです。
お名前を失念してしまったのですが、赤面症のせいで長い間ひきこもりぎみだった女性で、その後治療により社会的に積極的になり、「お洒落ではなく世の中に出るための化粧法」を主張している方がいらっしゃいます。とても共感しました。
そんなわけで、ネイティヴの女に「化粧水何使ってるのー?」などと気安く声をかけられる度に、殺意をふつふつとさせている邪悪な石倉でございました。
なーんて言うのも、結局はタダの防衛であって、おそらくは他に理由があるんだろうなぁ、という程度のモノなのですが。
闘う女、強い女だけが美しいのです。