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就労差別初体験 続報

 昨日の「就労差別初体験」続報です。

 この派遣会社の営業担当者は五十歳くらいの男性で、最初の面接の時から「きれいですね」などと容姿に言及する態度を見せていたので少し不安だったのですが、談判に向かってさらに呆れてしまいました。
 「わたしたちは歓迎なのですが、向こうの企業の担当者が……」と言いつつ、常識を疑うような発言の連続です。念のために診断書やら審判書やらといったうんざりする書類も持参したのですが、それも「面白いもの」を見る態度。さらに身体の状態などについて遠慮もなく尋ねてきます。
 驚きました。正直、ここまで「エロオヤジ」で仕事をしている人には初めてお目にかかりました。
 わたしの経験では、一定の距離のある状況では女性より男性の方が慎み深いものです。女性は割と敷居が低いと言うか、カムすると色々な意味できゃぁきゃぁ騒ぐものですが、男性は誤解を恐れてか余計な発言を控える傾向がある気がします。
 もちろん、お酒の席などは別でしょうし、夜のお仕事の時は正にこういう関係を生業にしていたわけですが、そこは「そういう場所」でお金を払って楽しむものなのですから、まったく問題ありません。むしろ大歓迎です。
 しかし昼間のビジネスの世界となると話は別のはずです。
 なんというか、ちょっと言葉が出て来ないのですが……。

 とりあえず、怒鳴りこそしなかったものの、「今、ご自分が何をおっしゃってるかおわかりですか?」「はっきり言えば、下劣ですよ」「わたしが勤務することで不快に思う方が絶対にいらっしゃらないとは断言できませんが、あなたの言動の方が、女性一般にとって遥かに不愉快なことは間違いありません。よく言われませんか? デリカシーがないとか」等々、スネチャマのお母様級にイヤミを並べて帰ってきました。
 この営業担当がおかしいだけで、会社自体は普通だと信じたいのですが、中にはこういう人もいるので気をつけて下さい。ちなみに群馬に本社があり、大手町に東京支社を置く某小さめの派遣会社で、Iという営業です。

 これはトランスの問題というよりは、ものすごい低レベルのハラスメント、いやそれにすら及ばない社会常識の問題です。
 率直に言って差別やらセクハラ(になるのかな?)やらしょうもない話題でぎゃぁぎゃぁ騒ぐのはかなり嫌いで、自分で取り上げていてうんざりしているのですが、あまりにも度が過ぎるのでここに書いてストレス発散させてもらいます(笑)。まぁ、あんまりこういう役回りになることもないので、ゴッコ遊びを楽しんだということにしておきます。
 ヴィジュアルやらエロの話題自体は嫌いではありませんが(「きれい」と言われることそのものはもちろん嬉しいですしw)、こういう白痴くんに人間みたいな顔で歩かれると、うかうか楽しいエロ話もできません。飲み屋と会社の区別もつかないようです。

 てか、飲み屋で会ってアゴ割られないでラッキーだったな、オッサン!


追記:こういった問題で一番注意すべきなのは、差別やら嫌がらせやらといったことが「ある/ない」ではなく、これと目されるものに出会うことで「差別がある/ない」という浅薄な思考様式に絡めとられてしまうことです。目指すべきなのは差別がないことではなく、差別のある/ないを考えない、あるいは差別という概念を持たないことですが、具体的な困難等に出会うと、人はどうしてもその問題がある/ないという見方に執着してしまいます。これは状況を打開していくために有効なことではあるのですが、決してこの思考回路自体が目的ではないことを忘れてはいけません。人生には為すべき美しいものが沢山ありますから、「有事」が去ったら速やかに武装解除しないと自分が損をします。
完全な安全などありませんから、痴漢を恐れてマシンガンを持ち歩くような愚に陥らないよう気をつけたいものです。

2004年11月20日 | トランスセクシュアル・ポリティクス | トラックバック| よろしければクリックして下さい→人気blogランキング