「華奢でキレイ」なMtFはノンパス
瑣末な話題ですが。
先日MtFの友人と話していてつくづく話が合ってしまったのですが、「華奢」とか「キレイ」とか言われるMtFはパスしていない(もしくはどこかから情報が漏れている)だけです。
時々ネイティヴの女から容姿を評価されて調子に乗っているMtFがいますが、実に滑稽なことです。
おそらくMtFとしては恵まれたことに、わたしは身長も比較的低く、胸板の薄い華奢な骨格に育ちました。小さい頃から「細い」キャラだったわけですが、それはあくまで「男性としては」です。
ひとたび普通の女として暮らし始めれば、どうしたって女子標準よりは「ゴツい」です。今までずっと「自分は華奢」と漠然と思っていたのが、いきなり「ゴツい」キャラに鞍替えしなければならないわけです(笑)。わたしが武道や格闘技にいまだにこだわっているのも、自分の「ゴツさ」をごまかす良い口上になるから、というのが一つあります(さすがに肩の筋肉等は落としましたがw)。さらに本音を言ってしまえば、そうすることで(体格的に十分ではあり得ないという現実から)心理的に防衛しているのでしょう。
逆に言えば、「細い」だの何だの言われているうちは、自分は相当目立ってしまっている、と思ってほぼ間違いないです。
仮にパスかつノンカムの状態だとしても、容姿を褒められて喜んでしまうは危険です。
後から女子カルチャーに潜入したMtFは不慣れな場合が多いですが、女子の環には「一応褒めておく」「褒められても絶対肯定はしない」「無理やりにでも褒めるポイントを一つは見つけておき、褒め返す」という不文律?のようなものがあるものです。パス度の高いMtFというのは、(男性としては)「キレイ」と言われて育ったケースが多いので余計危ないのですが、この褒め言葉を真に受けていると、ハタから見たときにかなり間抜けなことになっています。三歩歩いたら何を言われているかわかったものではありません。
要するに、カムしていてもノンカムでも、パスしていてもノンパスでも、ネイティヴの女に褒められたら気をつけろ、と覚えておきましょう。
ついでながら、トランジション時に人間関係を切断していなかった場合、潜伏(埋没)後に「元の性別」を暴くきっかけを作るのも大抵ネイティヴの女のネットワークです。この複雑極まりないパワーゲームで上手に振舞うのはネイティヴでも苦手な方がいるくらいですから、相対的に不慣れでしかあり得ないMtFなら、注意しすぎることはありません。
特にカムしている状態のMtFをネイティヴ女がちやほやしてくるのは、要するに「キレイな男の子」程度の認識で面白がっているだけです。そういう扱いを受けて「受け入れてもらえた」などと喜んでいるMtFはバカ丸出しです。
そもそも「受け入れてもらう」必要があるのでしょうか。頭を下げて仲間に入れてもらうのですか?
もちろん、生きていくためには社会の中に場所を見つける必要はあります。だからといって、ネイティヴ以上に頭を低くする必要はまったくありませんし、「気にしないよ」などと大所高所から見下ろされる筋合いもありません。
「寛大な心」マスターベーションのネタにしたいなら、ちゃんとお金払ってくださいね。都合の良い女と「安全な男」はお金で買うものですから(笑)。
この辺についてもう少しキチンとしたことは、「『認められないこと』の価値を認める」「お前に『気にされる』筋合いは1ミリもない」「『偏見のない』人を偏見の目で見てみる」あたりを参照してください。
言うまでもなくカム・ノンカム、パス・ノンパスなど、どのような状態・スタンスでも好きにしたら良いのですが、知らないところで予想外の評価をされてしまっても面白くないでしょう。
ちなみに「ゴツい」キャラに備えておく、というのはMtF当事者にとってかなり重要なことで、社会的性別の移行後(潜伏後)、今までとまったく逆の評価を受けるようになるポイントが色々あります。
多くのMtFは、漠然と自分を「女っぽい」キャラだと思って成長したのではないかと思うのですが、人間性はともかくとして、少なくとも体格的には、女子標準としては「男っぽい」場合が99%以上です。この「価値の逆転」はなかなかタフな壁ですから、予め心の準備だけはしておいた方が安全です。
骨格に関しては、変えられるにしてもかなり限界があります。だからといって悲観して引きこもっていては餓死してしまいますから、「ゴツい」「男っぽい」キャラで開き直って自然に演じるくらいで行った方が精神的に楽だと思います。せっかく普通の女として暮らし始めたのに、むしろ以前より「男」キャラになってしまう、というなかなか面白い現象がここにあります。
もちろん、女子標準よりさらに細く小さな体格に恵まれたMtFは、こんなくだらないことを考えずにどーんと行って下さい(笑)。