5 性器の「見せっこ」について
SRS第一段階5日後
本テクストのカテゴリ「SRS記録」 については、「SRS記録について」を御一読ください。
台湾人のMtFが「終わったら(出来た性器を)見せて」と発言してちょっと驚いた、ということを書きましたが、MtFの「見せっこ」については『セックス・チェンジズ』の中にも記述があります。手元にないので翻訳者のくせにページ番号がわからないのですが(笑)、あるFtMがMtFを批判している下りです。「FtMは非常に我慢強く、苦痛に満ちたSRSも文句一つ言わず乗り越えて行く。それに比べMtFは下品で常識がなく、およそ女性が口にすることなど聞いたこともない粗野な言葉を平気で使う。態度もだらしなく、手術後の性器をお互いに見せっこしたりする。そんな者たちを同じトランスセクシュアルと考えるのは難しい」といった内容だったと思います。
わたしも彼女から「見せて」と言われた時には「え!?」と思いましたし、一般常識から考えて、男性であれ女性であれ、成人が性器を「見せっこ」するのはどうかと思います。
ただ一方で、わたしたちトランスセクシュアルには、一般の男性・女性のように「ぶっちゃけ話」をする相手が余りにも限られている、という側面もあります。性器を巡るこのような幼児的関心を、ネイティウ゛であればかなり早い段階で経過し、その後はあからさまにすることなどないと思うのですが、成人後に性器を構築したトランスセクシュアルの場合、他に機会がない、とも言えます。
ただ、この点についてはFtMでも変わらない以上、十分に弁護になっているとは言えません。また断固として弁護しよう、とまでは思わないのですが、SRSによって新たに生じた「性器の悩み」をシェアする場がかなり限られている以上、仲間内同士であれば、少しは大目に見てあげても良いような気もします。
また入院生活を送っていて感じますが、「身体を見せる・見る」ということに関して病院という場所を一般社会と同等に考えるべきではないでしょう。わたしも毎日あられもない格好に尿の入れ物や色々な管をぶら下げて歩いていますが、こんなビジュアル、患者でなければ変質者ですよ(笑)。
もちろん、第三者の見ている前で「それ」をやったとしたら、明らかに犯罪的だと思いますし、変態呼ばわりされて当然でしょうけれど。
わたし個人としては、まだ皮膚移植前の段階なので、自分の性器も見ていません。性器というより「傷」の段階です(ナースもwoundと呼んでいる)。今のところ、できた「それ」の美的完成度にはあまり関心がないのですが、退院する頃には興味が出て来ているものなのかもしれません。ただまぁ、性器というものは、男性女性を問わずそれほどスマートなものではないと思うのですけれどね。
『日本女性の外性器 統計学的形態論 日本性科学体系』
高価にも関わらず非常に話題になった本です。性器の「出来」が気になる方はチェックしてみては(笑)。