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暴力的であり得るという女の特権

 友人の女性が、高校生にちょっと手荒い注意をしました。
 食べ物の包みを投げ捨てたことに対し、それを拾って彼らのポケットにねじ込んだのです。
 このことが彼女の日記にあったことから、前々から感じていた点についてネイティヴがどれくらい認識しているのか、試してみました。つまり、こういう注意の仕方ができるのは「女の特権」である、ということです。
 彼女はあまり「擦れた」女、つまり問題なくスッキリ適応しているタイプの女性ではなく、だからこそとても魅力的な人物なのですが、それでも「まるで気付かなかった」という返答でした。非常に興味深いです。

 なぜこれが「女の特権」なのでしょうか。もし男性が同じことをしたら、女性よりは遥かに容易に物理的な格闘に展開してしまうからです。要するに男が同じことをやると喧嘩になるのですが、女がやると比較的安全に相手の虚をつけるのです。気の短いMtFとしては自明なのですが(笑)、以外と「普通の人」は気付いていないようです。
 別段特権だからといって一概に否定しようというのではありません。そもそもこの特権は、家父長制に割り当てられた男性の特権の裏返しでしかありません。つまり「土俵に乗れるのは男だけ」というわけです。場外からものを投げられても、とっさにどう対応して良いのかわからないのです。
 より卑近には「女に暴力を振るうな」といった格率のレベルもあります。これもまたホモソーシャルなルールによって男性の男性性を守る方策の一つでしかありません。

 ですが、少なくともこれが特権である、という認識程度は持っていても損はありません。オジサンが弱腰なのにも理由があるのです。そして特権とは常にシステムの内部でしか成立しないものですから、本当のアウトサイダーには通用しません。通用しない時になって「こんなはずではなかった」と思うのは滑稽です。
 どんな権力も、通じない方が前提なのです。

2005年05月22日 | 地球潜入リポート | よろしければクリックして下さい→人気blogランキング   はてなブックマークに追加  delicious_s.gif  このエントリをlivedoorクリップに追加