「睡眠リズム障害とメラトニン」で概日リズムの乱れによる睡眠障害を話題にしましたが、日経CMEに面白い記事がありました。
DNAチップを用いた最近の解析から、体内の数百以上の遺伝子が24時間振動していることが確認されている。このことは、睡眠・覚醒、血圧調整、ホルモン分泌などに限らず、生体内の幅広い生理現象や細胞活動に、概日リズム機構が関与している可能性を示唆する。 このリズムを作っているのが時計遺伝子で、既に概日リズム睡眠障害などでの臨床応用に研究が進んでいるそうです。
埼玉医科大学精神医学教室教授の海老澤尚氏らは、最近若年者を中心に増加している睡眠相後退症候群(DSPS)、非24時間型睡眠覚醒症候群(N-24)の患者において、現在までに報告された十数個の時計遺伝子の解析を順次進めている。
これまでの研究から、健常者に比べDSPS患者では、ヒトPer3遺伝子多型(V647G、H1158R)の保有率が高いことがわかった。Per3蛋白質のリン酸化に何らかの影響が加わることで、概日リズム障害をきたしやすくなる可能性があるという。 遺伝子多型が概日リズム睡眠障害の発症にどれだけ関与しているかは、今後の研究を待つとのこと。当然ながら、遺伝要因にすべて還元できるわけではありません。
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