粗食と美食のガストロノミーさんに「マーガリンについて」という面白いエントリがありました。とまとの「へぇ〜」さんの「マーガリンvsショートニング」にも触発された模様。
まず、脂肪酸には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」という二種類がある。
飽和脂肪酸は脂肪のメイン成分である炭素が水素とガッチリ結合して「飽和」しており、そのためバターやラードは常温でも個体の形状になっている。
一方、不飽和脂肪酸は炭素と水素が結合していない「不飽和」の部分があるため、植物油や魚の脂は常温で液体なのだ。
それを、結合していない部分に水素を加えて個体化させ、乳化剤や水を加えて出来るのが、マーガリンというわけ。
この自然界に存在しない合成の脂肪は「トランス型脂肪」と呼ばれ、脂溶性ビタミンの吸収を低下させ、アレルギーやガン、心臓病や痴呆などを招く原因になるという。
「バターは動物性、マーガリンは植物性だけれど、なんだかマーガリンの方がイメージ悪くて健康本なんかでも『マーガリン厳禁』ってあるなぁ」とは思っていたのですが、ちゃんと調べたことがありませんでした。なるほど。
「19世紀フランスで、革命と戦争による貧困のためバターが足りなくなり、その代用品として植物油を固めて作られた」とのこと。日本では1952年まで「人造バター」と呼ばれていたそうです。ムダに強そうでちょっとエッチなネーミングが笑えます。
ちなみに脂肪酸をもうちょっと細かくわけると、
・飽和脂肪酸:肉類に多く含まれている脂肪酸。パルミチン酸、ステアリン酸など。肝臓でコレステロールの形成を促進、悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、動脈硬化の原因になる。とりすぎ注意。
・多価不飽和脂肪酸に:体の中で作れないため食べ物から取らなければならない必須脂肪酸のリノール酸、α-リノレン酸が含まれ、その他にDHA、EPAなどがあります。
リノール酸はひまわり、ごま、松の実などのナッツ類、EPAはいわし、さば、にしん、DHAは本マグロ脂身、まだい、ぶりなどに多く含まれる。飽和脂肪酸とは逆に、善玉コレステロールを増やし、動脈硬化の原因となる血栓の生成を防ぐ。ただしとりすぎると、悪玉だけでなく善玉コレステロールまで減らしてしまう。
・一価不飽和脂肪酸:植物油脂に多く含まれている脂肪酸。オリーブオイルや菜種油(キャノーラ油)に多く含まれているオレイン酸は、この一価不飽和脂肪酸に分類される。善玉コレステロール値を高めて悪玉コレステロール値を適量に調整するといわれている。
となります。ただし「とにかく飽和脂肪酸を絶対摂らない!」とかでうまく行くわけもなく、厚生労働省は、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3でとることをすすめています。ちなみに、多価不飽和脂肪酸のことは「うるめいわしの栄養メモ」でもネタにしました。
それにしても、せっかく体に良さげな不飽和脂肪酸を化学的に飽和脂肪酸にしてしまうとは、トランス型脂肪とは罪深きものです。アレルギーや心臓病だけでなく、精神病(器質性)との関連も疑われているとのこと。マーガリンやショートニング(マーガリンの水分や乳成分を含まない業務用の油脂)、ヤバいです。
細かいことを言い出したら食べられるものがなくなってしまいますし、どうせガンで死ぬんだから一緒、という気もしますが、健康食生活は日々を豊かにする信仰でございますから、信心深く生きたいものです。大体マーガリンの場合、どう考えてもバターより不味いですしね。
ちなみにわたしは、「油」として抽出してあるものはオリーブオイルのみ、それも滅多に使いません。でも時々発狂して菓子パン貪ったりしてしまいます。食べ物問題は純生理学的にどうこうと言うより、気持ちの問題(口唇欲動)にドライブされて
ますから、適度に死を導入することで延命しておきます。
どうでもいいことですが、「トランス」というキーワードに敏感なイシクラ、こんな悪役に使われていてちょっと悲しいです。ちなみに、「トランス」をキーワードに検索かけると、大体「トランスフォーマー」が最初にひっかかります。
『ビタミン・ミネラル革命』 読んでみましょうか。