SRS第一段階11日後 本テクストのカテゴリ「SRS記録」 については、「SRS記録について」を御一読ください。 今日はドクターの許可があれば立てるようになる日、と認識していたら、朝ナースが「今日オープンする」と準備を始めた(オープンとは、膣内部のパッキングやカテーテルを取り除き、一応の「出来上がり」になること)。
予定より早まったのかな、と思っていると、診察でやはり「オープンは明日」と言われる。ただ同日に皮膚移植した別の患者さんは今日オープン明日ダイレーション開始となったそうで、わたしが明日なのは単に移植が同日午後だったため「too soon」という、微妙な違いによるらしい。
SRS第一段階12日後 このところ夜うまく眠れずナーバスになっている。
睡眠薬をもらってはいるものの、眠ってもすぐ目が醒めてしまう。昼間寝ているから仕方ないのもあるが、気分的に抑鬱状態。
朝の診察のときも精神的に良くなかった。断薬が長引くことによる更年期障害的な症状である可能性を指摘される。そういえば突然暑くなったり、身体の温度調整がおかしい感覚もあった。プレマリンの0.625mgを処方してもらう。また食後の薬に安定剤も追加されたらしい(よくわからないまま飲んでしまう・・)。
いよいよオープン。
予め「テープをはがす時、既に陰毛が伸び始めているので痛いかもれない」「尿道カテーテルを抜く時に痛い」「膣内のパッキングを取り出されるときは、内臓をひっぱられるような奇妙な感覚」と聞かされていたが、まったくその通り。痛いというか、怖い。
傷の状態は大変良いらしいけれど、とにかく怖い。
コーディネータのYさんにさんざん甘えてようやく落ち着いてくる。
足りない皮膚をとったソケイ部が痛い。また外陰唇相当部分の縫い目も時々痛い。痛みがくるのではないか、と思うと怖くてノロノロとしか動けない。
まず立ち上がる練習。「(第一段階手術後に立つときより)二回目の方が大変」と聞いていたけれど、これは予想ほどではなかった。多少立ちくらみがして、実におぼつかないものの、一応立てる。足が弱って細くなっている。
痛みというか、痛みへの恐怖心で座れない。非常に中途な状態でのそのそうごく。
性器を見てみる。
「今は腫れているから、最終的なものだと思わないで」「最初はグロテスクでびっくりするかも」と言われたけれど、思ったほどではなかった。そもそも性器などグロテスクなものだと思う。
Yさんと話しているうちに尿意を催す。
排尿できないと大変なので、正念場。
お手洗いで座ってみる。
尿はきちんと出たのだけれど、この感覚が以前と違うので実に不思議。
男性性器の場合、尿の出る部分と性感の最も敏感な部分が隣接しているけれど、女性性器では少し離れている。従来の身体イメージより肛門に近い部分から尿が出る感じ。両方を知っているヒトはトランスしかいないはずなので、貴重な経験かもしれない。すぐに慣れてしまうだろうし、またそうでないと困るが。
今まで考えたこともなかったが、排尿のコントロールというのは少なくとも男性がイメージするより身体の奥の方で行われているらしい。そうでなければ、陰茎がなくなっても同じコントロール系統を使えるはずがない。
現状では長い間カテーテルが入れられていたせいで、尿意と実際の尿量との関係が誤認されている可能性もあるとのこと。この辺は脳が慣れてくるとわかってくるものらしい。
排尿できたので一安心。
排尿後の洗浄や、薬の塗り方を教わる。
午後はじっとして休む。
夕飯前、もう一人の日本人を訪問する。彼女は一日早くダイレーションを始めている。
新しい身体に慣れないといけない。
とにかく大変な一日だった。
明日はダイレーション開始。
追記:「安定剤」と書きましたが、後で確認したところanti depression、抗うつ剤でした。「トリプタノール」という三環系の抗うつ剤で、鎮静効果が高く、パニック障害などにも用いられるようです。日本で「とりあえず」と最初に出てくる抗うつ剤はSSRIが多く、ルボックスなどが中心だと思うのですが、トリプタノールはなかなかイイ感じに効いてくれた気がします。過去にSSRIを処方されたことが何度かあったのですが、いつもあまり良い感触ではなかったので、相性なのかもしれません。調べたところ、トリプタノールは結構強いお薬のようですが、わたしは副作用も大して感じませんでした(ただし、当然ながらとても眠くなります)。トリプタノールのジェネリック薬
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