こんな記事がありました。クイントデンタルゲートより。
去る8月22日(日),東京都墨田区・国際ファッションセンターにて、カボデンタル主催・城楠歯科商会協賛で、「ヨーロッパ・最新う蝕治療の実際」と題して、「Heal Ozone」(カボデンタル・国内発売日未定)を利用したう蝕治療について、2名の講師により講演が行われた。 (…)DIAGNOdent値45以下のう蝕部位について、エアスケーラーでプラークを除去した後、脱灰歯質を削らなくてもHeal Ozoneでオゾンを照射して殺菌処理したとき、2〜3か月後に再評価すると、DIAGNOdent値が減少すること、また減少しなくとも、う蝕の進行が停止することが実際の症例を通して報告された。(一部要約) Heal OzoneはKaVo社による虫歯治療機器で、要するにオゾンで虫歯の原因菌を殺菌して治す、という製品です(開発元はCureOzone社?)。DIAGNOdent(ダイアグノデント)というのは、レーザーを使って比較的初期の虫歯の進行度を測る機械です。45以下ということは象牙質まで達している虫歯を含みますから、結構な範囲がオゾンで治せることになります。
ホンマかいな、と思って調べてみると、斎藤矯正歯科さんのブログに既にリサーチしたエントリがありました。ここで取り上げられているレビューによると、”there is no reliable evidence that application of ozone gas to the surface of decayed teeth stops or reverses the decay process.”とバッサリ断罪されてしまっています。また、斎藤先生によるとDIAGNOdent値は「計測者の指先ひとつ光の当て具合でどのようにでもコントロール出来る数値」とのことで、結構いい加減らしいです。しかも両方KaVo社の製品。KaVoというのは歯科関係に少しでも噛んだ人間なら知らない人のいない一大メーカーで、それだけに逆らっては生きていけない部分もあるのでしょうが(笑)、偏った情報に振り回されないような慎重さは必要でしょう。
もちろん、エヴィデンスが取れていないとしても治療効果がないとは言い切れません。しかし斎藤先生の指摘するようにオゾンは人体に有害なものです。そのデメリットを補って余りあるメリットがあり、かつ他に選択肢がないのでなければ、敢えて選択する理由が不十分です。
こういう未来っぽい話自体は大好きなので、改良するなり何なりして本当に治療効果を上げてくれるのを期待したいところです。
関係ないですが、待合い室などによく置いてある海外歯科製品のパンフレットは、異様に白い歯の白人がスマイルしていて、無気味にバタくさいものが多いです。KaVoのサイトロゴにある画像も結構キてます。
……怖いです。
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