例によって無駄に歩いて帰宅途中、ビルの谷間に素敵な場所を見つけました。
お社さんです。
本当にビルとビルの間に押し込められるように残っています。何度もこの場所を通っていたのに、今まで気付きませんでした。入り口には紫陽花が綺麗に咲いています。
足を踏み入れると、車の騒音がふと遠くなった気がします。どういう御利益があるのかもわからないのですが、お参りしていきました。
「こんな場所で立ち止まるのはわたしくらいだろう」と思っていたら、写真を撮ろうとしたほんの短い間に二人の女性がお参りに来ました。おそらくは近くにお勤めの方でしょう。習慣になっているようで、儀式のように手をたたいて足早に去っていかれました。
都市計画的には「失敗」なのかもしれませんが、なんとなくぽっかり残ってしまって、しかも機能しているのです。観光地化した管理緑地のような大手神社より、ちゃんと信仰の対象になっている気がします。
都市菜園然りですが、「伝統を守れ」式で囲い込んでしまったとしたら、こんな輝きは残らなかったことでしょう。シミのような浮き具合こそが、きっと人を惹きつけているのです。
ある種の「失敗」こそが、小さな灯明のように行き先を照らしてくれます。