久々に「信じられない出会い体験」ご報告です。
凄まじいタイトルを付けてしまいましたが、正に文字通りの出来事です。
会社帰り、地元の駅に着いて少し歩いた時のことです。突然、男の人に声をかけられました。
「すいません」
「はい?」
「あのさ、5万くらいで、アルバイトしてくれないかな」
「え……?」
一瞬、本気で何のことだかわかりませんでした。
声をかけてきたのは、四十代くらいのごく普通のサラリーマン風のオジサンです。かなりイイ人そうで、とても「援助」を申し出るようなタイプには見えません(どんなタイプが「援助」しているのかも謎ですが)。
しかもそこは、深夜の歌舞伎町などではありません。のどかで寂れたベッドタウンです。
何度も書いていますが、わたしの最寄り駅は住宅街のまん中にいきなり駅を作ったようなところで、駅前にはスーパーと畑しかありません。どこをどう考えても、普通のナンパすらめったに行われるような場所ではないのです。というか、ナンパしたところでラブホはもちろん喫茶店すらありません。
加えて時刻はまだ9時を回った頃です。
「あのー、酔っておられます?」
「いや、飲んではないんだけど。このまま帰るのもなぁ、と思って」
オジサンは実ににこやかで、恐ろしく「普通」です。雰囲気的には、普通に接していれば好感の持てるタイプです。本当にどこにでもいそうなサラリーマンで、善良っぽすぎてウチの会社では勤まらなさそうな勢いです。
「いやぁ……え、ていうか、どうするんですか? え? 場所もないですよ?」
「だから、その辺の駐車場とかでさ」
って、サカリのついた高校生ですかっ。
「ていうか、あの、ご近所の方ですよね?」
「うん、駅の向こう側」
「わたしも近くなんですけど、だ、大丈夫なんですか」
真面目にこっちが心配になっています。
「でもなんかエッチな気分だし、風俗とか行ってもつまらないでしょ。そりゃ、そういうトコ行けばもっと安く済むんだけど、面白くないし」
だからって地元の住宅街で「会社帰りOL風」をナンパするでしょうか。なんというチャレンジャーでしょう。ちょっとホレる勢いです。
びっくりを通り越して笑えてきました。本当にケラケラしだしているわたしを前にしても、オジサンはちょっとはにかんだようなスマイルを絶やしません。
「もっと遊んでそうな子だったら別だけど、しっかりしてそうだし」
「いや、そういう問題じゃなくて。てか、わたしこのシチュエーションがめちゃくちゃ面白いんですけど」
「そう?」
「お金はいいんで、どこかでお話でもしていきます?」
もう、逆ナンに走っています。お話する「どこか」すらないので、本当に駐車場の暗がりに向かいます。
「いや、だから、お話じゃなくてさ」
「どうしたいんですか?」
「そりゃやっぱり、ちゃんとしたいよ」
「えーと、あの、それはつまり、いわゆる『本番』ってヤツですか?」
「うん」
すいません、「本番」は物理的に無理です。
「いやぁ、それは勘弁ですよー」
「だめ? ちょっと触らせてもらってさ」
重ね重ね申し訳ないですが、その器官がないんですよ。
「そ、それもちょっと……」
「だめ? だって彼氏とはそうするでしょ?」
アンタ彼氏じゃないでしょっ。
「ほんと、ご期待に添えなくて申し訳ないんですけど」
「そうかぁ。残念だなぁ」
「ごめんなさい。でもなんかこの状況があり得ない感じで、楽しかったですよ」
「そう? ボクもこんな美人とお話できただけで良かったことにしようかなぁ」
久々にセクハラまがいの賛辞を頂きましたが、結構素直に嬉しいです。
「全然ですよ。タダですから、わたしなんて」
「まぁ、大体この時間に帰ってくるし、また会ったら挨拶くらいしてよ」
「あ、はい」
本当にまた会いそうです、かなりの確率で。
最後まで可愛い照れ笑いを浮かべたまま、オジサンは郊外の暗がりに去っていきました。
一片の皮肉もなく、痛快な体験でした。「宇宙村村長との第三種接近遭遇」に勝るとも劣らない出会いです。
本音を言うと、未だに「パス」が不安になったりネイティヴに嫉妬したりすることがあるのですが、声レベルに自信を付けさせて頂いちゃいました。今日はわたしの中では割と男っぽいカッコだったのですが(そういう服の方が好き)、認めて頂けてそれなりに幸せです。スケール小さくてすいません。
オジサンには「スッキリ」してもらえませんでしたが、わたしは気分爽快です。
そんなわけで、せっかく顔出ししまくっているので、どこかで見かけたら気軽に声かけてやってくださいね。時間があったらお茶でもしましょう。
本番はできませんが。
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