そのものズバリのタイトルで、セクシュアル・マイノリティに関する概説的入門書です。
少し翻訳のお手伝いをさせて頂きました。
類書の比較的多いタイプの本ではありますが、文章のノリもよくコンパクトにまとまっていて、全体をざっと眺めるのに最適です。学術的な研究書でもアクティヴィストの本でもリーフレットでもなく、一般の方にとっては馴染みやすいでしょう。
個人的には、細かいところで少し疑問なところもあるのですが、言い始めるとキリがないですから(笑)、まずは教養ということで。
この本、地の文のところも良いのですが、おススメなのはコラムです。「セクシュアル・マイノリティ、豆エピソード」のような小話?が挿入されています。「同性愛に対する十三の治療例」に「美容療法」というのがあって、要するにブッチをかわいらしくして「治そう」という試みなのですが、「男性ホモセクシュアルには無効」と但し書きがあったのには笑ってしまいました。
また、巻末の関連団体リスト、および各国ごとの法制度調査は充実しています。特に後者は、日本で出版されているものでは目にしたことがありません。
この手の問題については、アカデミズム内でかかわっているヒトやアクティヴィストと、市井の当事者の間に多少の乖離があるものですが、「ウチみたいなのって世の中的にはどうやったんやろ」という方は、一度手にとってみると良いでしょう。