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思いでの炭疽菌事件 | eternal transition::ジェンダー/セクシュアリティ
Categories: 思想 文学 社会

思いでの炭疽菌事件

 何の脈絡もなくふと思い出したのですが、炭疽菌事件ってありましたよね。
 なんだか中学の時の目立たない同級生みたいです。「あぁ、そんなヤツおったわ! えーと名前が……」みたいな。
 あれ、どうなったんでしょうか。騒ぐだけ騒いで、結局犯人つかまったのでしょうか。


 炭疽菌関係のニュース記事リンク集を見ても、捜査関係の報道は先細り、2001年終わりごろで立ち消えになってます。その後は治療法やテロ対策全般との絡み記事が出ているようですが、せいぜい2002年前半くらいまでです。2001年11月6日には早くも「捜査は暗誦に乗り上げている」という報道があります。
 「軍関係者の犯行?」という「自作自演説疑惑」は当然あります。「米国内にばらまかれた炭疽菌は、テロリストが作れる範囲をはるかに超えた完成度の高いもので、かつて米国防総省が開発した炭疽菌と同じ水準の完成度を持っている」とのことで、「犯人」が誰かはともかく、出所が軍である可能性はかなり濃厚のようです。
 すっかり踊らされてしまった、というより自ら踊りまくっていたメディアの問題については、田中宇さんによる「炭疽菌とアメリカの報道 」(2001年12月13日)という総括がとてもわかりやすいです。
 ヒット作品は、「事件によって金銭的な利益を得る関係者が犯行に及んだ可能性がある」というFBIの発表(2001年12月21日)。
金銭的な利益を得る可能性があるのは(1)炭疽病治療のための薬物販売(2)炭疽菌除去のための消毒、清掃業務―などに絡む関係者が想定されている。 「テロの恐怖」をさんざん煽っておいて「薬屋がまいたかも」とという、ステキな内容です。
 ブログにしてしまったりすると、やっぱり最新情報に反応したりレアなニュースを拾ってきたりしないといけないような強迫観念に捕われるのですが、どうも食指が動きません。
 知らないことを見つけるより、既に知っていることが突然思い出される瞬間の方がドキドキします。「誰も見たことのないもの」などというナイーヴな幻想より、「どこかで見たことがあるけれど、どこで見たのか思い出せないもの」の方が美しいでしょう。
 以前、『科学 あの話題はどこにいった』という本を見つけて面白く読んだ記憶があります。「常温核融合」「ロシアのスペースシャトル」など、中学の目立たないクラスメイト満載です。
 科学記事フリークでもある文系人間にとっては、かなり渋いツボを抑えてくれていました。


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